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コネタ748
 
VIP気分を味わってみる
 

「VIP=Very Important Person」。政府の要人だったり貴族だったり、とにかく凄く偉いので特別待遇を受ける人物。

今回は、そんなVIP気分を味わってみようと思います。設定は、「石油の出る国の要人が東京にやって来た」という事でよろしくお願いします。

(text by 住 正徳

VIPと言われてまず思い浮かぶのは、あの赤絨毯ではないだろうか。赤絨毯の上を颯爽と歩くVery Important Person。その姿はまさしくVIPといえよう。

そんなVIP気分を味わう為に、色々な所で赤絨毯の上を歩いてみようと考え、幅90センチ、長さ4メートルの赤絨毯を調達した。

本当は本格的な赤絨毯が欲しかったのだが、それは1メートル2万円近くもする。VIP気分を味わう為だけに8万円も出せないので、メートル980円のフエルト生地で代用する事にした。


フエルト製の赤絨毯

スーッと転がして敷ける様に、赤絨毯のエンド部分に固めの芯を取り付けた。これなら芯の重みがうまく作用して、路上でもまっすぐに敷く事が出来る。

で、まずはタクシーだ。普段は何となく慌ただしくタクシーから降りる事が多いのだが、今日の僕は「石油の出る国の要人」。後ろで待っている車の事など気にせずに、ゆったりと降りて赤絨毯の上を歩いてみせよう。


事務所に横付けされるタクシー 運転手が扉を開ける
おっ、赤絨毯! どこぞの要人だ? ん?
お前は 誰だ?

頭の中で『威風堂々』を流しつつ颯爽と歩いたつもりだが、こうして写真を見るとその猫背っぷりにビックリだ。石油の出る国の要人からは程遠い。


VIP自ら赤絨毯を巻き上げていたら運転手さんが領収書をくれた。あっ、すんません

まあ、赤絨毯の上を歩くのはこれが初めてな訳で、ハナから威風堂々と行くのは難しい。とりあえず街に出て色々な所で赤絨毯を敷き、その感覚に慣れていこうと思う。


横断歩道に スーッと赤絨毯が
いやあ どうも、どうも
たいやき屋のおじさんも VIP気分で

 

コンビニの入口に またまた赤絨毯が
ごめんなすって お邪魔しやす

駄目だ。覇気がない。
やはり、赤絨毯の上を歩くのは気が引けるのだ。気が引ける分、態度が小さくなり猫背に磨きがかかってしまう。


巻き上げて

もうちょっと試します。


ちょっと失礼して ビローン!
お腹が空いたので 立ち食いそばでも食べましょう
食券を買うVIP VIP、食事中

 

六本木駅のトイレに 赤絨毯が
その上を歩く VIP

という写真を撮っていたら、駅員さんが飛んで来た。

駅員「ちょっと! 何やってんの?」
要人「あ、あの、VIPがトイレに、って設定で、その、写真を…」
駅員「????」
要人「いえ、すみません。すぐに撤収します」

トイレの前で赤絨毯を素早く巻き上げながら、この姿はVIPとは対極だって事に気付いた。


大江戸線から さっき駅員さんから怒られていた
VIPが 降りて来た


赤絨毯の上を歩く、という事だけにVIP気分を求めてみたが、そこにはいくつかの間違いがあった。

・VIPは自ら赤絨毯を敷かない。
・VIPは自ら赤絨毯を巻き上げない。
・VIPは駅員さんから怒られない。

と、そう簡単にはVIP気分は味わえない、って事で。
ごきげんよう、さようなら。

大江戸線で移動するVIP


 

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